タイ副首相、TPP参加意向伝える 茂木経財相と会談
バンコク=小谷洋司】タイを訪問中の茂木敏充経済財政・再生相は1日、首都バンコクでソムキット副首相と会談した。副首相は環太平洋経済連携協定(TPP)に参加する意向を示し、日本に情報提供などで協力を求めた。タイが米国離脱後のTPPに参加する意向を11カ国の署名国に伝えたのは初めて。
茂木氏は会談後「(タイが)TPPに入りたいという意志を示した」と述べた。「正式な手続きは来年初めをめざすTPPの発効後」との見通しを示し、タイの参加実現に向けて協力する考えを表明した。
タイは3月、TPP参加に向けた検討を官民で始めた。旗振り役であるソムキット氏は国として参加を決めることを前提に、日本に後見役を要請した。保護主義に対抗し、TPP拡大へ環境づくりを急ぎたい日本と利害が一致した。
東南アジアではシンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシアがTPPに署名した。日本にはアジア太平洋地域でTPP拡大の機運を高め、米国の復帰を促したい思惑もある。茂木氏はタイとの協議を踏まえ「米国にも良い影響があるよう期待している」と述べた。
タイ商業省によると、同国のTPP署名国向け輸出額は2017年に約703億ドル(約7兆6900億円)。米国の離脱で比率は下がったが、輸出全体のなお約30%を占める。タイはTPP参加で貿易拡大を狙う。
タイはかねてTPPへの参加に前向きな姿勢を示していた。米離脱後に様子見してきたが、マレーシアやベトナムとの競争条件を考慮し、改めて米国抜きのTPPへの参加に傾いた。